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岡市などでも行われているような、市民事業の起業などについて、マネジメントの講習などを行うことも必要である。
このような人材育成のための施策は、市民活動の内容について干渉するものとはいえず、むしろ市民が市民活動を展開していくための手法について、専門的・技術的な助言を与えるものである。こうした援助は、市民がなかなか触れることのできない政策や経営の手法についての理解を深めるという意味でも、意義深いものであるといえよう。
(d) 活動場所の提供
活動の場の確保は、市民活動を行う際に資金の獲得と同様に不可欠な問題であるが、多くの団体では、それができず、公共施設を転々とわたり歩いているものが少なくない。とくに、恒常的な事務局の確保と会議を行う場所の2つは重要である。
恒常的な事務局の確保については、自治体としてなかなか取り組みが難しいものがあるが、たとえば、神奈川県県民活動支援センターの例にみられるように、メールボックスの設置やいつでも使える交流スペースの提供などは、小規模な団体には有用である。とりあえず、そこに行けばグループの仲間に会うことができる、連絡ができるということが必要なのであり、いわば「たまり場」を提供することに意味がある。また、そのことは、それら団体への一般市民のアクセスを容易にすることでもあり、情報提供という意味合いもあわせもつであろう。
また、会議室の確保についても、現行では、行政が至便な地に安価な会議室を準備することが難しくなっており、また、もしあっても大都市の場合には民間企業や各種団体などの「取り合い」が激しく、供給が追いつかない現状がある。地方自治体が公益性・公共性に鑑み、市民活動団体が優先的に使用できる施設整備を急ぐ必要があるだろう

 

(3) 市民活動支援に向けた行政機構の改革
(a) 市民と行政のパートナーシップ構築に向けた行政機構改革
以上みてきたように、市民活動に対する様々な支援方策が考え得るが、こうした支援方策を実施するための障害があることも事実である。それは、今日の行政改革をめぐる議論の中にもみられるように、行政の縦割り構造にみられる非合理性とパターナリズム的な市民活動への統制意識である。
前者については、所管課ごとに自らの領域を確保しつづけようとし、市民活動団体すら自らの領域に系列化されている事実がある。たとえば、福祉関係のボランティアについて

 

 

 

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